だれでもがかかる恐れがある病気だといっても、わが国のパーキンソン病の
患者さんは現在、そんなに多いわけではありません。
およそ十二万人で、発症率は十万人に百人(千人に一人)です。
この数字は、癌の死亡率約二百人(人口十万対)と比べてみると、
そう多くないことがお分かりになると思います。
しかしながら、今後、患者さんの数はかなり増えるものと予想されます。
というのは、冒頭の答えにもあったように、この病気は高齢者に多いからです。
スポンサーリンク
わが国では六十五歳以上の高齢者の全人口に占める率(高齢化率)が
年々上がって、二〇四〇年には三〇%を突破する超高齢社会になる見込みです。
ということは、パーキンソン病の患者さんも今後ますます増えることになります。
ですから、年を取ればだれでもが無縁ではない、我がこととして、
パーキンソン病の正しい知識を手にしていただきたいと願っています。
そして、あなたや家族の方が「万一」パーキンソン病にかかったときの参考に
していただければ幸いだと思います。
それと、ここでもう一つ強調しておきたいのは、この病気については
誤解が多いということです。
それは、「パーキンソン病にかかると痴呆になって、しかもすぐに寝たきりになる」
という誤解です。
スポンサーリンク
そうではありません。ここが大事な点で、発症してすぐに歩けなくなるのは
パーキンソン病ではなく、パーキンソン症候群ないしは別の病気です。
これらはパーキンソン病に比べるとそんなに多くはありません。
パーキンソン病というのは、徐々に症状が進んでいくのです。
とはいえ、進行するからといって、みながみな寝たきり状態にまで
進むわけではありません。
ほとんどの患者さんが十年以上、普通に暮らせます。
また、パーキンソン病は基本的には知能を侵されません。
皆無ではありませんが、痴呆になることは少ないのです。
こう説明すると、あれ? と思われたかもしれません。
あなたが心に描いていた病気は、もしかしたらパーキンソン病ではなく
他の病気だったかもしれません。
以上、おおまかにパーキンソン病についてご説明しました。
さらに、パーキンソン病とはどんな病気なのか、お話を進める
ことにいたしましょう。
パーキンソン病は、一口に言うと、動作が遅くなる、あるいは
振るえるとか、固縮といって体が硬くなったりする病気です。
病気が進行すると少しずつ悪くなっていきますが、その進み方に
定型のパターンがあります。
病気の原因は、脳内の神経伝達物質ドパミンが減るからです。
ところが、なぜ減るのかがいまだ解明されておらず、
いまの段階では完治する病気ではありません。
薬による対症療法と外科手術が主な治療法です。
まずは、先に挙げた著名人の例を具体的に
見ていきましょう。
スポンサードリンク